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Multiple Personality Me, 2020, 120 x 140 cm, oil on linen

HERITAGE

タイは今、美術市場の盛り上がり、若手作家の台頭、若者文化の輸出などで国際的に注目を集める国になっています。欧米の文化を吸収しながら、独自の進化を遂げてきたアジアの作家の筆頭として、アオフ・スミスの評価は高まっており、作品は世界中で収蔵されています。

過去から現代に受け継がれてきた遺産、時にそれは暴力の残余であり、新たな始まりです。 物が意味を持たなくなった日に、人間が起こした戦争は終わりました。時を旅する者にとって、物質には価値がありません。そこではふわふわのウサギの耳を持つ、ファーリーという名の犬のような生き物が、新しい価値観を見つけて楽しんでいます。

- アオフ・スミス

この度メグミオギタギャラリーでは、アオフ・スミスの日本初個展 ‘HERITAGE’ を開催致します。スミスは2013年にタイのモンクット王工科大学ラートクラバン校ビジュアルアーツ修士課程を修了し、以後バンコクを拠点に活動しています。2017年にSAC Gallery(バンコク)にて個展 ‘SILENT RAVAGE’ を開催し、アメリカのポップシュルレアリスムやローブローアートを独自に解釈した世界観で作品のテーマと表現の新和性を高め、夢の世界を称賛する新進気鋭の若手作家として一躍脚光を浴びました。グループ展では、大学院在学中より精力的にタイ、アメリカ、中国、シンガポールなどで展示を行い、国際的な知名度を高めてきました。2022年には、Thinkspace Projects(カリフォルニア州ロサンゼルス)にてアメリカ初個展 ‘Irrepressible Summer Melody’ を開催しました。

スミスの作品の中では、マンガやアニメ、 サイエンス・フィクション、メカが一体となり、おどけた動物、ロボット、怪獣などがコンピュータグラフィックスさながらの立体感で描かれています。バンコクの夜、怪しく催眠的なネオンの光から浮かび上がる、ずんぐりとした体型のキャラクターは、20世紀以降目まぐるしく変化してきた、視覚表現を貪欲に吸収して生み出されたモンスターです。彼の色彩感覚は、鮮やかで味わい深い視覚効果をもたらし、作品に登場するキャラクターの存在を際立たせています。

刺激的な表現が特徴のスミス作品には、私たちを惹きつけるメッセージが秘められています。例えば、ペットが人間の行動を戒めるような描写は、表面的な社会批判の域を超え、普段とは異なる世界の見方を提示し、鑑賞者に考察を促すきっかけを与えています。純粋無垢な動物と、その愛おしさ故に選択的に特定の種を繁殖させ、結果的に動物を苦しめている人間、良心と罪悪感がせめぎ合う現代の矛盾と混沌、ファンタジーに夢中になることで見過ごされてしまう日常の残酷さ…その一つ一つに対して行動を取る生き物たちの姿が、悲哀や忍耐、ユーモアを込めた並行世界の中に描かれています。

今展にてスミスは、新作絵画を中心に14点を展示致します。洞窟壁画から3DCGまで、一通りの平面表現を経験してきた私たちは、時空を越えた想像上のキャラクターをありありとキャンバスに描く、彼の重層的な作品に何を見出すのでしょうか。過去から現在、そして未来へ、不確かな現実と奇妙に交錯する、スミスの世界にご期待下さい。

Dates

2023.4.7(金) - 4.28(金)

12:00-18:00   

日・月・祝 休廊

メグミオギタギャラリー

〒104-0061
東京都中央区銀座2-16-12 銀座大塚ビルB1

*新型コロナウイルス感染症対策のため、混雑

時にご入場をお待ち頂く場合がございます。

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