
スフィンクスたち
川野美華
西洋神話や聖書を題材に、独自の持物を散りばめた摩訶不思議な作風で知られる画家・川野美華の個展を開催。“Sphinx” を含む油彩画約30点を展示します。
この度メグミオギタギャラリーでは、川野美華個展「スフィンクスたち」を開催いたします。1983年大分県に生まれた川野は、2008年に別府大学文学部芸術文化学科絵画表現コース研究生を修了、在学中から現在まで多くの作品を発表し熱烈な支持を得てきました。特別学生としてオーストリア・ウィーン美術アカデミー具象絵画学部に留学(2018-2019)、また大分市美術館、東京都美術館、ウィーンのギャラリーで作品が展示されるなど、国内外に活躍の場を広げています。さらに、2020年には熊本市現代美術館にて個展「川野美華展 Nighthawks」が開催されました。作品は油彩画であるものの、川野は「日本画特有の『間』の表現や神経の行き届いた輪郭線への憧れが強く、日本人が持つ空間の捉え方を意識し制作」していると語ります。淡い色彩の中の異形の生き物たちは、細く柔らかな輪郭線で形づくり、そこに屋外で拾い集めた蝶の羽やビーズを重ねることで物語性を帯び、画家の心をありのままに投影して描かれます。細部の質感にまでこだわったその作品は、平面的で装飾的、さらに工芸的な美意識を取り込んだ、20世紀初頭の学際的なウィーンの美術を想起させます。また、川野は日常の出来事に、神話や聖書など西洋の古典的な象徴を独自に組み合わせた作品を制作し、温かであり愚かでもある人間の本質を探究しています。
うららかさの中に忍ばせた不気味な暗示、あるいは不意に訪れる鮮烈な場面描写は川野の真骨頂であり、摩訶不思議な夢の世界「ミカワールド」とも形容されています。顕在内容から、その背後にある潜在思考を探る観点からは、「親友」と称する絵画との同一化を図る願望の充足が、川野にとって制作の動機と言えるでしょう。無意識は論理的な関係を表現できない代わりに、時に過剰な視覚をもたらします。一方、意識は無意識の侵入を押し留めようとするため、図像は歪曲され、思考は言葉遊びのような形象にすり替わることになります。客観的現実と心的現実との相剋によって強い引力が生じ、私たちは川野の作品から目が離せなくなるのかもしれません。
本展覧会名は、ギリシア神話の怪物スフィンクスが、旅の途中のオイディプスに謎を掛ける物語から取られています。川野は、2026年3月にAteliermultimedia Galerie(ウィーン)にて個展、帰国後に弊廊では6年半ぶりとなる個展を開催します。深化を続ける画家の絵画世界をお楽しみください。
スフィンクスたちは謎謎を問いかけます。憂鬱げに、しかし眼光を光らせて。
私は彼女たちの思い通りに絵を描くのが大好きです。
画面にむかい筆を動かす時、構図や色調を私自身がコントロールして絵をつくっている感覚はありません。ただ一緒にいたいとか、もっと深く潜って理解したいとか、そんなことを祈りながら絵を描いています。
— 川野美華
Dates
2026年4月17日(金)-5月16日(土)
12:00-18:00
日曜・月曜・祝日 休廊
オープニングレセプション
4月17日(金) 18:00-20:00
メグミオギタギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座8-14-9 デュープレックス銀座タワー8/14 B1
03-3248-3405
info@megumiogita.com

ハンドバッグの留め金が
2022
162 x 162 cm
Oil, beeswax, beads on canvas
Sphinx
2026
35.5 x 98 cm
Oil, beads on canvas


Wolke
2026
56.5 x 76 cm
Oil, beads on paper