
NORMALIZED DISTORTION
アオフ・スミス
異質な要素が渾然一体となった奇妙な世界を創造するタイ人画家、アオフ・スミスの個展を開催。普段は「正常」なものとして見過ごされ、何かの弾みに表出することで人々の関心を集める社会の「歪み」を取り上げた油彩画の新作約15点を展示します。
この度メグミオギタギャラリーでは、アオフ・スミス個展 “NORMALIZED DISTORTION” を開催いたします。スミスは、2013年にタイのモンクット王工科大学ラートクラバン校ビジュアルアーツ修士課程を修了し、以後バンコクを拠点に活動しています。卓越した表現力と独創性により、タイ美術界の最前線に立つ気鋭の画家として脚光を浴びています。グループ展では、大学院在学中より精力的にタイ、アメリカ、中国、シンガポールなどで作品を展示、国際的な知名度を得てきました。画材の変化により視覚効果を高めた、2017年の個展 “SILENT RAVAGE”(SAC Gallery、バンコク)では大きな注目を集め、2022年にはThinkspace Projects(カリフォルニア州ロサンゼルス)にてアメリカ初個展 “Irrepressible Summer Melody”、2023年には弊廊にて日本初個展 “HERITAGE” を開催しました。
スミスは、愛らしいキャラクター、人工物や廃棄物、ユーモアや皮肉を内包したテーマなど、異質な要素が渾然一体となった奇妙な世界を創造、ファンタジーを通して現実社会の矛盾や脆弱性をあぶり出しています。大学時代には、ポップアートの色彩理論や構図、また1970年代後半にアメリカ西海岸で起こった地下美術運動、ポップ・シュルレアリスムに見られる表層性を研究しました。修士課程でモチーフとした菓子は、その親しみやすい姿で無垢な子供たちを誘惑する毒を象徴し、現在まで続く彼のスタイルの礎となりました。以後、スミスはブルドッグとウサギを掛け合わせたような生き物「ファーリー」を中心に、人間の遺産としてのキャラクターを登場させていきます。対照的なモチーフの構成や配色、風刺などにおいては、ポップ・シュルレアリスムの巨匠、ロン・イングリッシュの影響を挙げています。また、アニメや漫画といった日本のサブカルチャーにも馴染み深いスミスは、キャラクターのデザインや表情を自身の作品に反映させています。
本展では、普段は「正常」なものとして見過ごされ、何かの弾みに表出することで人々の関心を集める社会の「歪み」を取り上げた油彩画の新作約15点を展示します。時代に一石を投じるスミスの個展をご高覧ください。
この探求は、社会構造によって徐々に当たり前とされてきた行動や振る舞いを通じて、人間の精神に潜む歪みを考察するものです。個人は、社会的に認められたアイデンティティの下で生きつつ、内面に潜むプレッシャーや脆さ、そして暗い衝動を隠し持っています。それはまるで、相反する二つの自己が同時に存在しているかのようです。
個人が、似たような考え方や欲望、本能を持つ人々に囲まれると、抑圧されていた感情が表面化し始めます。その結果、偏見や感情的な暴力、あるいは心理的な不均衡に根ざしているにもかかわらず、特定の行動が表に出され、ごく普通のこととして受け入れられてしまいます。時が経つにつれ、こうした状況は日常の布地に織り込まれ、繰り返されることで静かに維持され、疑問視されることはほとんどありません。
結局のところ、こうした考察は単に社会に埋め込まれた歪みを映し出すだけでなく、問いを私たち自身へと向け直すことになるかもしれません。こうした状況は、人間存在の避けられない一部として受け入れられるべきなのでしょうか。それとも、私たちが「逸脱」と見なしているものは、そもそも最初から私たちの中にあったのでしょうか。
—アオフ・スミス
Dates
2026年7月17日(金)–8月8日(土)
12:00–18:00
日曜・月曜 休廊
オープニングレセプション:7月17日(金) 18:00–20:00
メグミオギタギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座8-14-9 デュープレックス銀座タワー8/14 B1
03-3248-3405
info@megumiogita.com

The Tough Trap
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