アルフレッド・マルティネス
Requiem for a Dream
着色したX線写真のような画面と飛び散ったインク、作家の内面を支配した銃のイメージ、そして自身の神話を育てるための様々な振る舞いから、新表現主義の系譜とみなされたアルフレッド・マルティネスの個展を開催します。
この度メグミオギタギャラリーでは、アルフレッド・マルティネス個展 “Requiem for a Dream” を開催します。マルティネスはニューヨーク市出身のアーティストであり、銃を分解し、発射するためにどの様に動作するのか観察することを好み、作品の主題としています。1990年代、ニューヨークのアートフェアにて自作の銃で画商を空砲射撃したり、中国ではインターネットで武器情報を検索して秘密刑務所に収監されたりと、彼の経歴はスキャンダルや無秩序、狂気に満ちています。とりわけ2002年、マルティネスはジャン=ミシェル・バスキアの贋作17点と真筆の証明書を偽造し美術収集家に販売、27カ月の実刑判決を受け、業界にその名を轟かせることになりました。服役中は看守に創作活動を拒否されたため、55日間のハンガーストライキを行った他、本や絵はがきにコーヒーのかす、ペン、鉛筆などで作品を描き、秘密裏に持ち出してマンハッタンのギャラリーで展示、販売しました。2019年には弊廊にて日本初展示を行いましたが、糖尿病と右足の感染症の悪化により、2023年に56歳で死去しました。
マルティネスが描く銃の作品は、絶え間なく続く戦争や暴動、銃乱射事件の時代を反映しており、その中の1点は、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) に所蔵されています。1980年代、マルティネスはバスキアと同時期にニューヨークのアートシーンに身を置いていました。着色したX線写真のような画面と飛び散ったインク、作家の内面を支配した銃のイメージ、そして自身の神話を育てるための様々な振る舞いから、マルティネスを*新表現主義の系譜とみなすことができます。その捨て身の表現は現代社会への挑発的な声明であり、真贋の欺瞞や資金洗浄など、業界にはびこる闇に対する鋭い洞察も内包しています。マルティネスの制作、言動、人生そのものが芸術的パフォーマンスだったと言っても過言ではないでしょう。本展では、マルティネスの追悼として2018-2019年制作の作品を9点展示します。
*1970年代末から80年代にかけて興った新しい具象絵画の動向。70年代に席巻したミニマルで概念的な美術への反動から、人物像、歴史的・神話的主題などを荒々しい筆致で描くスタイルが若手作家を中心に世界的に隆盛。
Dates
2024年6月21日(金)-7月20日(土)
12:00 - 18:00
日曜・月曜 休廊
Contact
メグミオギタギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座2-16-12 B1
Homemade Machine gun
2018
53.5 x 83.5 cm
Acrylic on collage paper
Mak 9mm Mak
2019
23.7 x 29.6 cm
Acrylic on collage paper (framed)