木立真佐美 / Masami Kidachi
2017. 3.14(Tue.) - 3.25(Sat.)
12:00 - 19:00(closed on Mon., Sun. & Public Holiday)
Reception 3.14(Tue.) 17:30-19:30
ーこえていくー
アニマ, 2009, H 70 cm, modeling cast, polyurethane Photo : KEI OKANO
MEGUMI OGITA GALLERY 東京都中央区銀座2-16-12銀座大塚ビルB1
この度メグミオギタギャラリーでは、木立真佐美 個展「-こえていく-」を開催いたします。1979年に東京学芸大学大学院彫刻専攻を修了した木立真佐美は、動く彫刻の可能性を求め、1981年より球体関節人形の制作を開始しました。以後多数のグループ展や個展を開催、2005年には映画「輪廻」に登場する人形の制作を担当しました。
ドイツ人作家 ハンス・ベルメールの作品が1965年に澁澤龍彦により雑誌「新婦人」にて紹介されたことをきっかけに、大きな衝撃と共に日本に広がった球体関節人形は四谷シモンや吉田良を始め、今日まで多数の作家を輩出しており、日本を代表する文化としても世界的に認知されています。
人形の完成度、細部にわたる造形美に価値の重きを置く日本において、多くの優秀な人形作家がいますが、木立の作品はその完成度を保持しながらも、造形美だけに留まらない人形の持つ不思議な力を理解し、それを見る者に伝えようと活動している希有な作家です。
彫刻や絵画での人物像は人の内面が表される事、あるいは内面を表現するために制作される事があります。その一方で人の形をした「物」として作られている人形は、内面が無い故に見たままに受け入れられ、また見る人の心情を受け入れる器ともなり、決して裏切る事のない繋がりを感じる対象として存在します。
木立の試みは、現代ではむしろ物である人形に人が心を開き繋がる事に注目し制作する事です。物である事を強調する為、木立は表面に箔を貼り、また透明の樹脂に虫や貝を入れる事で人らしさを消し去っていきます。このように木立の作品は、見えない繋がりを知ることの第一歩に人形を置き、人と物、人と植物、人と動物、そして内面を持つ人間も受け入れる事で、相手に受け入れてもらえる、相互のコミュニケーションの原点を気づかせてくれます。
「私が説明不能なものに触れようとすると、それはアニミスティックな姿になるのです。
人は誰でも、自分の中に言葉にできないものを抱えています。それは、資質であったり、固有の忘れがたい体験や思い出であったりします。このような自分と言うものの核心部分を、何とかして表現しようとすると、その形は現実にはありえないものになるほかはないように思います。
そのような表現は、私の場合、さまざまなものが融合して分かちがたく結びついた形姿をとるのです。植物や動物、人間、物までが、同じいのちを持ったものとして融合していく・・・
私にとって作るということは、見えない意味が作品となって立ち現れてくる悦びです。作品は、いのちの輝きであると共に、いのちの消失点です。この生と死の接合点で、作品と人間は繋がっています。
私は作品という鏡を通して、草木、虫、動物、あなた、私・・・の繋がりを、映し出してみたいのです。」
作品を通して木立は、人と人、人と自然、人と動物、あるいは人と物において、生命がお互いに受け入れ、受け入れられることで、繋がり合い、生きていることを実感出来る事を表現しているのです。
今展では、複雑な色彩を施した全身像、マスク作品、また代表作の一つである透明樹脂に虫を閉じ込めた作品等、約10点を展示します。木立真佐美 個展「-こえていく-」にぜひご期待ください。