top of page
P_DSC4972.jpg

異才の二人展

加藤委・川端健太郎

磁土の鋳込み成形から想を得た鋭い造形と、青白磁の釉薬の流れるような濃淡が印象的な加藤委(つぶさ)、そしてガラス片や釉薬による色彩と、磁土を手びねりした有機的な作風の川端健太郎。2人の陶芸家の2000年代の代表作を中心に展示します。

この度メグミオギタギャラリーでは、長野市・桜華書林の企画協力による、陶芸家・加藤委と川端健太郎の「異才の二人展」を開催いたします。本展は、2000年代初頭に桜華書林の櫻井氏が加藤氏を知り、その斬新な作品に感銘を受けたことに端を発します。その後櫻井氏は、かつて岐阜県・多治見市陶磁器意匠研究所にて加藤氏の助手をしていた川端氏の個展を開催、「スプーン」(2007)と同時代の作品を展示するに至りました。本展ではこの特別な出会いを振り返ると共に、両作家が自身の表現方法を確立し、現代陶芸界に大きな影響を与え始めた時期の貴重な作品をご紹介します。2人の「異才」が目覚めた黎明期の代表作4点を含む、約30点の珠玉の作品からほとばしるエネルギーをご堪能ください。

本年、加藤氏はご逝去されました。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

加藤委(1962-2025)は、1979年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了しました。絵付師として勤務後に独立、1986年多治見市・尼ヶ根古窯(あまがねこよう)発掘調査に参加し、同窯の保存運動を展開しました。1996年東京国立近代美術館に出品、2006年にはニューヨークで個展を開催しました。加藤の作品は、刃物で削り出した鋭く緊張感のある造形と、空のように透き通った青白磁の釉調が特徴です。2000年代には、磁土の可塑性に挑戦するような意欲作が数多く制作され、その後の表現を予感させる強烈な個性を放っています。動きの中の一瞬の美を捉える類稀な造形感覚は、美濃で生産される食器の鋳込み成形から想を得たといいます。即興的に磁土を伸ばしたり千切ったりを繰り返し、釉薬をかけて焼成された作品は、鉱物のような荒々しさと気品を併せ持つと同時に、素材に対する深い理解や敬意も感じさせます。

川端健太郎(1976-)は、2000年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在は岐阜県瑞浪市に窯を構えています。国内での展覧会に加え、ロサンゼルスでの個展(2018)、イタリア・ヴェネツィアでのグループ展(2024)など、海外にも活動の場を広げています。高い作陶技術を要する磁土を用いた有機的な造形と、釉薬や創意工夫に満ちた異素材の仕掛けが作品の魅力です。とりわけ2007年にパラミタ陶芸大賞を受賞、そのシリーズ作品である「スプーン」と同時代に制作された作品には、磁土を手びねりし、編み込み、砕いたガラス片や石、金属質の釉薬を組み合わせるなど、陶芸の既成概念を超える大胆な試みが見られます。白い磁器の肌に辰砂(しんしゃ)の赤がにじむ薄いひだのような形態と、折れ目や合わせ目に施した異素材の装飾は、身体を彷彿とさせる官能的な美をまとっています。

Dates

2025年12月9日(火)-12月20日(土)
12:00-18:00

日曜・月曜 休廊

メグミオギタギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座8-14-9

デュープレックス銀座タワー8/14 B1
03-3248-3405
info@megumiogita.com

企画協力:桜華書林(長野)

Freeze Flame_500.jpeg

加藤委
フリーズフレーム
2005
28 x 62 x 56 cm
Porcelain

川端健太郎

スプーン

2007

27 x 105 x 36 cm

Porcelain, glass, silver

Spoon_500.jpeg

©2025 MEGUMI OGITA GALLERY All Rights Reserved.

8-14-9 B1 Ginza Chuo-ku Tokyo 104-0061 Japan

  • ogp
  • ブラックInstagramのアイコン
  • Youtube
  • ブラックTwitterのアイコン
bottom of page